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 広島県尾道市立の小、中学校に入学する子どもが、従来の校区以外に通学できる学校選択制で、2011年度入学者の募集が締め切られた。

 先駆的な教育で知られる同市西土堂町、土堂小の希望者は43人と、制度開始から8年連続で募集人数を上回った。地元からの入学者が減少して危機感を抱き、改革に取り組む中学校も出るなど、学校運営に大きな影響を与えている。

 漢字と算数の検定、ホームページ製作、ソフトボール……。土堂小の校長室には、表彰状やトロフィーが置き場もないほど並ぶ。各学年で習う漢字を5月上旬までに一通り覚える「前倒し」や「百ます計算」など、公募で03年度に着任した陰山英男・前校長が始めた指導。10年度の全国学力・学習状況調査では、国語、算数とも全国平均を8・9~21・0点上回った。

 創立110周年を迎えた伝統校も、02年度には全校児童が65人まで減り、統廃合の危機に直面した。“陰山効果”もあってか、制度が全市で導入された04年度以降、選択制で入学を希望する児童は毎年38~54人にのぼり、抽選の結果、各31~37人が加わった。

 現在は各学年2クラス、計323人。選択制の児童が6割強を占める。JR尾道駅に近い利点もあり、多くは電車やバスで通う。

 生口島から片道約40分の船を利用している4年男児の父(49)は、「入学前に親子で授業を見学し、活気に引かれた。地元の学校は、複式学級すれすれの少人数。ある程度、切磋琢磨せっさたくまできる環境で学力をつけさせないと、将来、進む道は限られると考えた」と話し、男児も楽しんでいる様子だという。

 11年度、選択制による土堂小の受け入れ可能人数は35人。6日に抽選が行われる。

 同市では1学級40人が原則。地元からの入学枠は確保し、余裕分を選択制の募集人数とする。

 半田光行・市教育長は「各校の特色、通学距離や交通の便を基準に選ばれている。制度が有効に利用され、定着してきた」とみる。

 しかし、11年度に選択が可能な小学校31校中12校、中学校18校中6校では、希望者がゼロ。その大半が島嶼とうしょ部か山間部にある。

 中心部の同市防地町、久保中(186人)は、06~09年度に希望者がなく、地元の小学生が同校に進む入学率も07年度に65%、08年度には55%まで低下した。

 07年度に転任してきた古川昭生校長は驚いた。けんかや喫煙、授業に集中できない生徒たち。「行きたい学校、行かせたい学校」への「再生」を目標に掲げた。

 遅刻した生徒には、「今後、どうするか」を書かせる。東京への修学旅行に合わせて観光物産展を企画させ、2年生が有楽町の街角で「いらっしゃいませ」と声を張り上げる。「表現」を通じて、責任と自信を持たせるのが狙いだった。

 教員が近くの小学校に出掛けて定期的に授業をするなど、連携と交流を深めた。不登校の生徒は07年度の34人から09年度は10人に、「暴力行為」は14件から5件に減り、地元からの入学率は10年度、70%まで回復した。11年度は、2人が選択制で入学を希望している。

 古川校長は言う。「選択制が悪いとは思わない。でも、地域で育つからこそ、地域のことを考えるのではないでしょうか」と。

 学校選択制 保護者の意見を踏まえ、入学する小中学校を市町村教委が指定する制度。1997年、旧文部省が通学区域の弾力的運用に努めるよう通知し、導入が進んだ。尾道市のように全校から希望できる「自由選択制」、区域を分ける「ブロック選択制」などがある。県内では福山市、三原市、世羅町など、14市町が実施している。


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