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 子どもへの虐待防止に児童相談所が親子の間に立つ場面が増えている。早期の介入で救われる親子がいる半面、親と行政側の意見が食い違い、激しく対立することも。関係がこじれた親子を、社会はどう支えていくべきなのだろうか。

■6年間保護「互いに成長」 今は同居の娘

 「母が好きとか嫌いとかいうより、自分にはそこしか居場所がなかったんです」。熊本県内に住む女性(21)は中学1年の夏、一日中ベランダに追い出されていたところを中学校の担任に発見され、児童相談所に保護された。小学生の頃から母は怒るたびに手をあげ、あざができることもしばしば。母娘2人きりで育ってきた女性にとって、それが虐待とは思わなかったが、「あのままいったら、いつか爆発したかもしれない」と振り返る。

 その後6年間、母と距離を置くことで2人の関係は変化した。女性は児童養護施設から中学、高校に通い、母とは夏休みや正月に祖母を介して3人で会った。「母は一人で生活することで、落ち着きを取り戻しているようだった」と女性。高校卒業後に就職し、自ら母の元に戻った。

 女性は最近になって、かつての母を思い出す。父と別れ、親戚とも疎遠になり、夜中に酒を片手に泣いていた母。一歩踏み出せば、相談に乗ってくれる周りの存在に母は気づいていなかったのだと女性は言う。小さい頃は見えなかった母の弱さが、今はわかるようになった。「離れていた年月で、私も母も成長できたんです」

 県養護協議会の上村宏渕会長は「どんなに暴力を振るわれても、子どもも親も虐待だと気づかないケースがある」と指摘する。子は親にしがみつき、親は子を愛しながらも感情をコントロールできずに虐待がエスカレートする――。「そうなる前に社会が介入し、また家庭に帰れるよう関係を改善することが大切なんです」と話す。

■児童相談所の対応に「不信」 1年会えぬ母

 熊本市に住む40代の女性は、1年前に市児童相談所に小学生の子どもを保護されて以来会えていない。児相側は「顔にあざがあり、虐待の危険性があると判断した」というが、女性は「つねったのは1回で、そのことも学校に相談していた。子どもは上級生からのいじめを受けているなど事情があったのに、児相はこちらの話を聞かずに連れ去った」と訴える。

 家庭裁判所は昨年8月、児相側の申し立てを受けた家事審判で「(母親が)身体的虐待を行っていたと認めることはできない」と女性の主張を認めた。一方で、子どもには発達障害があり専門的な援助が必要とし、施設に入所させるとした児相の判断も支持。女性は「児相は信じられない」と即時抗告した。

 こうした親側の反発に対し、児相の担当者は「子どもの命を守るには思い切って保護するしかない。十分配慮しているし、再び親子で暮らせるように母親とコンタクトを取ろうとしている」。

 厚生労働省によると、虐待を受けているとして、子どもを親の同意なく児童福祉施設に入れるため、児童相談所が家裁に審判を申し立てるケースは、全国で年間200件前後あるという。

 西南学院大学の安部計彦教授(児童福祉学)は「介入が遅れれば子どもの命に関わる場合があり、児相と保護者の対立は避けられない面がある」としつつ、「親への支援がしっかりしていれば、トラブルは起こりにくい」とも指摘。「児童福祉の最終的な目標は、子どもが安全に家庭で過ごせること。事態を判断する児相職員の専門性をより高めるとともに、中立的な立場から家庭をサポートする第三者的存在が求められる」と話す。

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