×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
2012年に全面施行される中学校の新学習指導要領で、保健体育の教科に「薬の正しい使用」が盛り込まれた。自分の健康管理を適切に行う力を子供のころから身につけることが狙いだ。大人も薬について学ぶ機会は意外に少ない。知っておきたい基礎知識をまとめた。
◇(1)量、回数守る(2)水で(3)飲み合わせ注意
飲み薬は内服薬と呼ばれ、胃を通って腸で吸収された後、血液中に入る。そして肝臓に運ばれて一部は分解され、残りの成分が体をめぐって効果を発揮する。
飲む量や回数が決まっているのは、薬の血中濃度を効果が表れる範囲内に保つため。飲む量が多過ぎれば血中濃度が必要以上に上がってしまい、薬が効きすぎたり副作用が生じる。決められた量や飲む時間を守ることは重要だ。
飲み忘れた場合、次に飲む時間が近ければ、忘れた分は抜かすのが原則。1日3回の服用なら少なくとも4時間以上、1日2回の薬なら6時間程度は服用間隔を空けるようにしたい。
「せっかく飲んでも、使い方によっては効果が弱まったり、逆に強めてしまうことがある」と話すのは東京薬科大の加藤哲太教授(薬学教育)。
加藤さんは、約10年前から小中学校で「くすり教育」に取り組み、教室では簡単な実験を見せて、児童・生徒の関心を誘う。まずは試験管に水と緑茶を用意し、それぞれに同じ量の薬(鉄剤)を入れる。すると、水では変化は起きないが、緑茶では薬が黒く変色してしまう。緑茶の成分と化学反応を起こし、薬の成分が変化するためだ。
そのほか、グレープフルーツジュースで血圧降下薬を飲むと、薬の分解酵素の働きを抑えるため、血中濃度が上がり、血圧が下がり過ぎる恐れがある。また、牛乳は抗生物質の吸収を妨げることがある。「お酒も一緒に飲めば薬が効きすぎてしまい危険。薬はコップ1杯の水かぬるま湯で飲むのが基本」と加藤さんは話す。
複数の薬を同時に飲む場合も、予期せぬ相互作用が表れることがあり、注意が必要だ。
93年には抗がん剤を使っていた患者らが、感染症治療の抗ウイルス薬の投与により、16人が亡くなる事件があった。加藤さんは「薬の添付文書は使用説明書であり、必ず読んでほしい。飲む回数や量のほか、併用してはいけない薬の情報なども書かれている」と強調する。
最近、注目されている健康補助食品(サプリメント)も同様だ。ハーブの一種「セント・ジョーンズ・ワート」は気管支拡張薬や強心薬などの治療効果を弱める恐れ、またビタミンKが豊富な「クロレラ」は血栓予防薬の効果を弱める恐れがある。
東京慈恵会医大病院薬剤部の北村正樹さん(医薬品情報担当)は「新種のサプリメントは次々と誕生しているが、医薬品との相互作用などを検証するデータは少ないのが現状。疑問があれば医師や薬剤師に尋ねてほしい」と話している。
一般からの薬の相談は、日本薬剤師会・消費者薬相談窓口(03・3353・2251)▽医薬品医療機器総合機構・くすり相談窓口(03・3506・9457)などで応じている。
◇総合学習など利用…広がる先行教育
9月28日、東京都小平市の市立小平一中(小松信也校長)で1年生182人を対象に薬の授業が行われた。総合的学習の時間を活用し、加藤さんや学校薬剤師らが講師を務めた。「私たちには自然治癒力が備わっていて、それを助けるのが薬の役割」などと話し、適切な使い方の大切さを語りかけた。
同市では多くの小中学校で、薬教育が実施されている。学校側に働きかけてきた同市薬剤師会の福田早苗理事(学校薬剤師)は「薬局で仕事をしていると、薬に拒否反応を示す人がいる一方、薬に依存している人がある。正しい知識を広く伝えるには、学校現場が有効だと考えた」と話す。
近年、こうした薬教育の重要性が認識され、新学習指導要領の全面施行に先立ち、全国に広がりつつあるという。
◇薬を飲む時間の目安
食前 …食事の30分ぐらい前
食後 …食事の後30分ぐらいまで
食間 …前の食事から2~3時間後
就寝前…寝る1時間~30分前
頓服薬…症状が出たときに使う
PR
この記事にコメントする