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文部科学省が高校教育の改革に着手したことや、その改革の柱が「高校教育の質の保証」であることなどは、先にお伝えしました。では今後、高校改革は、どう進むのでしょうか。過去の高校改革が、教育の多様化・特色化を目指した「制度改革」が中心であったのに対して、今度の改革では、生徒の学力の保証、社会人としての基礎的能力の育成など、カリキュラムや指導形態など教育の「中身」そのものが、大きなテーマとなりそうです。

近年の教育改革は、▽実質的な大学全入時代の到来に対応した大学教育の改革▽全国学力テストや学校選択制の導入……といったように、大学や義務教育が中心で、高校教育はあまり話題になっていませんでした。しかし、これは高校教育の改革が行われなかったからではなく、大学教育や義務教育に先駆けて、高校教育の改革が進められていたためです。

1990年代ごろから、高校教育では、普通科と専門学科(職業学科)に次ぐ第三の学科である「総合学科」の創設、単位制高校の全日制への拡大、特色ある学科づくり、公立中高一貫教育校の創設など、主に制度改革を中心とする取り組みが続けられてきました。その背景にある考え方が、高校教育の多様化・特色化です。

ところが、これらの制度的改革への取り組みに、頭打ち傾向が見られるようになってきました。文科省の調査(外部のPDFにリンク)によると、総合学科は2000(平成12)年度に144校だったものが、5年後の05(同17)年度には286校とほぼ倍増しましたが、最近では伸びが鈍り、11(同23)年度は前年度より2校増の351校にとどまっています。これは、単位制高校も同様です。また、中高一貫教育校は、2011(平成23)年度は全国で420校(前年度比18校増)ありますが、公立だけを見ると、前年度より3校増えただけです。総合学科など新制度を中心とする高校教育の改革は、全国的に見ると、そろそろ限界に達したと言えそうです。

一方、高校教育の改革を検討している中央教育審議会の部会では、高校教育全体の水準の向上が、大きな課題となっています。文科省が提示した「検討課題(例)」には、(1)個々の生徒の学習進度・理解等に応じた学びのシステムの構築(能力・適性や進路に応じた教育、生徒の学力の保証)、(2)社会の要請にこたえる人材養成機関としての機能の充実(グローバル人材育成、情報活用能力の育成、キャリア教育の充実)、(3)個々の人格形成の場としての機能の再構築(コミュニケーション能力、社会参画)……などが挙げられています。

生徒の個性や興味・関心に応じた教育の多様化・特色化を図るという、これまでの高校教育の改革は、確かに制度的には多様な高校を生み出しました。しかし同時に、高校教育全体としての水準の低下を招いたのではないか、と指摘する向きもあります。

文科省が例示した検討課題からは、多様化・特色化という路線を修正し、教育内容や指導形態などの改善を図り、高校教育全体をとおして質の向上を目指す、という意図がうかがえます。

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