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 がん放射線治療の第一人者である東大病院放射線科の中川恵一准教授が15日、東京都千代田区の私立暁星高校で、がんについて特別授業を行った。

 これまで、厚生労働省のがん対策の会議などで、若い世代へのがん教育の必要性を訴えており、手始めに母校での授業を試みた。

 授業は「がんのひみつ」と題して行われ、2年生約180人が聴いた。

 まず、1970年代に国家がん法が施行され、がんによる死者が減っている米国に比べ、がん対策基本法が2年前にできたばかりの日本は、がん対策の後進国だと説明。スライドを使って、がんの原因やたばこの影響も解説しながら、米国やドイツで患者の6割以上が受ける放射線治療が日本では4人に1人しか受けていないことや、痛みをとる緩和ケアの普及が進んでいない現状を紹介した。

 さらに、国民のがん医療の知識が少ないため、がん対策の遅れを正す機会が少なく、死を連想させるがんから社会が目をそらす結果、半数のがん患者が治るなど、進歩した情報も入らなくなっていると指摘。最後に「きょう学んだことを家族にも教えてください」と結んだ。

 授業を受けた松島圭吾さん(17)は「がん細胞が人間の体をむしばみ、最後は死んでしまうことを、地球環境の破壊に例えていたのが興味深かった。放射線治療は副作用などが怖いと思っていたが、印象が変わった」と話していた。

 現在の教育課程で、医療の知識を学ぶ機会は、保健体育の授業などに限られている。学校の健康指導では、運動や食事の大切さ、たばこや飲酒の危険性など、子供の成長に合わせた指導が多く、がんや死、終末医療などを学ぶ機会は、ほとんどないのが現状だ。

 一方で学校は、子供に生や死をどう教えるかに苦慮している。暁星高校の神田信之教頭は「がんについて知ってもらうことで、生徒が命の大切さを改めて感じてほしい」と願う。

 中川さんは「国民の2人に1人がかかるがんは、患者にとって人生最大の問題になる。がんになってから学ぶのは精神的負担が大きい。不適切ながん治療を受けないためにも、早めに正しい知識を学ぶことが大事だ。がんや緩和ケアを若者が知ることは、生の尊さと死の意味を学ぶことにもつながる」と解説する。

 また、高校や中学などから依頼があれば、同様の授業を引き受けたいという。


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