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 「不登校」は、学校教育における大きな問題の一つです。小・中学校の不登校の状況は、文部科学省が調査結果を発表するたびに大きく報道されますが、高校の不登校はマスコミなどでもあまり取り上げられません。しかし、2008(平成20)年度の不登校は小・中学校で数、割合ともに減少した一方で、高校では不登校生の割合がむしろ増えています。

 文科省が発表した速報値によると、国公私立全体で2008(平成20)年度の不登校の数は、小学校が2万2,652人(前年度比5.3%減)、中学校が10万4,153人(同 1.1%減)、高校は5万3,024人(同0.0%)となっています。小・中学校の不登校は、過去2年間ほど増加傾向にあったものが、減少に転じました。これに対して高校は、不登校生徒の数は前年度とほぼ同じだったとはいえ、全生徒数自体が減っているため、不登校生の占める割合は1.58%(前年度比 0.02ポイント増)と増加しています。2008(平成20)年度の不登校児童・生徒の割合は、小学校が0.32%、中学校が2.89%ですから、高校の不登校が、実は見過ごせない問題であることがわかります。

 小・中学校の不登校は、まだ「登校拒否」と呼ばれていた時代から、その人数が調査されていました。しかし、高校の不登校の調査が始まったのは2004(平成16)年度からで、それまでは誰もその実態を把握していませんでした。その理由は、高校は小・中学校と違って義務教育ではないため、不登校は自動的に出席日数不足の扱いとなり、留年や退学(自主退学を含む)の問題としてとらえられていたからです。

 調査結果を詳しく見ると、全体数が少ない国立を除いて、全日制の全生徒数に占める不登校の割合は、公立が1.2%(普通科1.2%、専門学科1.1%、総合学科1.3%)、私立が1.3%(普通科1.2%、専門学科1.6%、総合学科4.6%)となっており、公立も私立も同じ割合で不登校が存在しています。

 不登校のうち退学した生徒の割合は、公立が34.3%、私立が36.5%。また、留年した生徒の割合は、公立が10.4%、私立が6.6%でした。不登校の約4割が、留年や退学につながっていることがわかります。

 高校の不登校は、放置すれば中退につながるため、将来の進路に大きな影響を及ぼします。ただ、小・中学校と異なり、高校は学校によって生徒の実態が多様で、一律の対策が難しいという面があります。また、教員の一部には、高校が義務教育ではないことから「不登校は本人の問題」「学校が嫌ならば、来なくてもよい」という意識が根強く残っており、不登校問題に積極的に取り組む姿勢に欠ける面があることも否定できません。

 しかし、高校進学率が約98%に達する現在、毎年5万人以上にも上る不登校生が存在することは、無視できません。義務教育である小・中学校と同様の取り組みはできないとしても、高校という段階に見合った対策を、早急に考える必要があるのではないでしょうか。


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