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東京・杉並の区立和田中学校(藤原和博校長)で26日、大手進学塾「SAPIX(サピックス)」の講師が担当する有料授業「夜スペシャル(夜スペ)」が始まった。
有料授業スタート…杉並・和田中
週3~4回の夜スペは平日夜の授業が中心だが、都教育委員会の「義務教育の機会均等の点から問題がある」という“待った”で開始日が当初の予定から17日間も延びたため、毎週土曜午前に実施される英語の授業が、初日になった。
この日の英語は午前9時から行われた。SAPIXの入塾テストに合格した同中の2年生計19人の中で、英語を選択した13人のうち、体調が悪く参加できなかった生徒らを除き、男子1人、女子10人の計11人が参加した。担当講師の年齢や詳しい経歴をSAPIXは明かしていないが、「特に優秀なベテラン」という紺のスーツ姿の男性。冒頭には、「頭の体操」と言いながら、英語のなぞなぞを出し、生徒たちが首をかしげながらも用紙に解答を記入すると、「正解だよ、優秀。素晴らしいじゃない」などと声をかけていた。
ようやく実施にこぎつけた藤原校長は、「ホッとしている。生徒のために本当に良かったと思う」と話した。
夜スペは民間のリクルート出身の藤原校長が企画。2年生を対象に月、水、金曜は午後7時から国語と数学を実施し、希望すれば土曜の英語の計3教科を受けられる。月謝はSAPIXの通常の半額程度で、国語と数学で1万8000円、英語も受けると2万4000円。
予定の2日前になって、都教委が計画の見直しを指導したが、区教委が「保護者らでつくる組織が実施主体となる学校教育外の活動」と位置づけたことで都教委も容認に転じていた。
格差に懸念 教師負担増警戒も
有料授業期待と不安
公立中学に塾講師が赴き、進学指導する東京都杉並区立和田中学校の「夜スペシャル(夜スペ)」が26日スタートした。生徒同士に格差は生じないか、費用が払えない生徒が不利になるのでは――。賛否両論が渦巻く中、地域や学校関係者はどんな思いで見守っているのか。
■地元
地元・杉並区で中学生を子に持つ親たちの間では、「夜スペ」の話で持ちきりだ。近くの区立中に長男が通う主婦(37)は「いいなあ」とうらやましそう。長男は野球部の練習に明け暮れる生活。が、夜スペなら部活の後すぐ直行できるため、「両立が可能かも」と期待する。
同区は2002年度から学校選択制を採用。同中は社会人を講師とする「よのなか科」を設けたことが注目され、これまでも有数の人気校だった。区教委によると、学区外の上限は40人。来年度の受け付けはすでに終了しているが、次年度は「夜スペ」効果でさらに人気は高まりそうだ。
「『いい学校に合格させる』がうたい文句の大手塾を、そのまま公立中学に持ってきた感じ」と批判的なのは、区立小のPTA役員を務める主婦斎藤佳子さん(48)。「公立の学校はどこへ行っても同じだ、という安心感があるはずなのに」。今のところ、子供は近所の別の区立中にそのまま通わせるつもりだ。ただ、夜スペが目に見える成果を出したら分からないと話す。「私を含め、多くの母親が流されてしまうかも」
■教師の立場
「学校の努力は十分だったのか。この問題を契機に見直してもらいたい」。夜スペ実施を認めた24日の都教委。子供の学力低下が全国的な問題になる中、委員からは教師の取り組み不足を指摘する声もあがった。
しかし、杉並区教委は「教師はめいっぱい働いている。部活動の終わった午後7時から、さらに授業するのは過重労働になりかねない」と説明する。そもそも教師は、部活動に生活指導と授業以外の仕事がいろいろあり、労働時間を正確に計算することができない。このため、法やそれに基づく都条例で、勤務時間は週40時間と定められ、時間外手当の代わりとして、月額給与にはその4%が一律加算されている。
都公立学校教職員組合の川角恒書記長は「勤務時間外の授業を、学校側が教師に課すことはできない。時間外の補習は、余裕のある教師が自主的にすべきことだ」と語気を強める。
■波及は?
大手予備校「河合塾」の服部周憲・経営企画部長は「全国の自治体はしばらくは静観するだろうが、成果が出たら動き出すかも」と予測する。
栃木県鹿沼市では、市立中学校の校長の間で、和田中の試みが話題に上ったという。ある中学校長は「まだ保護者から要望の声は出ていないが、塾に通っている生徒は多い。教育委員会の理解が得られれば、連携の動きが出てくるかも」。
「公立学校の校舎を塾に貸すことを保護者が望むと思えない」(青森市の市立中教頭)と冷静な見方もあり、地域の受験熱や私立中との競争の有る無しで温度差があるようだ。
帝京大学の市川博教授(教育学)は「保護者からの進学指導に対する要望が強い都会と、塾が宣伝戦略として学校と連携しようとしている地方。それぞれの状況に応じて批判はあるだろうが、徐々に全国に広まるのでは」とみている。
有料授業スタート…杉並・和田中
週3~4回の夜スペは平日夜の授業が中心だが、都教育委員会の「義務教育の機会均等の点から問題がある」という“待った”で開始日が当初の予定から17日間も延びたため、毎週土曜午前に実施される英語の授業が、初日になった。
この日の英語は午前9時から行われた。SAPIXの入塾テストに合格した同中の2年生計19人の中で、英語を選択した13人のうち、体調が悪く参加できなかった生徒らを除き、男子1人、女子10人の計11人が参加した。担当講師の年齢や詳しい経歴をSAPIXは明かしていないが、「特に優秀なベテラン」という紺のスーツ姿の男性。冒頭には、「頭の体操」と言いながら、英語のなぞなぞを出し、生徒たちが首をかしげながらも用紙に解答を記入すると、「正解だよ、優秀。素晴らしいじゃない」などと声をかけていた。
ようやく実施にこぎつけた藤原校長は、「ホッとしている。生徒のために本当に良かったと思う」と話した。
夜スペは民間のリクルート出身の藤原校長が企画。2年生を対象に月、水、金曜は午後7時から国語と数学を実施し、希望すれば土曜の英語の計3教科を受けられる。月謝はSAPIXの通常の半額程度で、国語と数学で1万8000円、英語も受けると2万4000円。
予定の2日前になって、都教委が計画の見直しを指導したが、区教委が「保護者らでつくる組織が実施主体となる学校教育外の活動」と位置づけたことで都教委も容認に転じていた。
格差に懸念 教師負担増警戒も
有料授業期待と不安
公立中学に塾講師が赴き、進学指導する東京都杉並区立和田中学校の「夜スペシャル(夜スペ)」が26日スタートした。生徒同士に格差は生じないか、費用が払えない生徒が不利になるのでは――。賛否両論が渦巻く中、地域や学校関係者はどんな思いで見守っているのか。
■地元
地元・杉並区で中学生を子に持つ親たちの間では、「夜スペ」の話で持ちきりだ。近くの区立中に長男が通う主婦(37)は「いいなあ」とうらやましそう。長男は野球部の練習に明け暮れる生活。が、夜スペなら部活の後すぐ直行できるため、「両立が可能かも」と期待する。
同区は2002年度から学校選択制を採用。同中は社会人を講師とする「よのなか科」を設けたことが注目され、これまでも有数の人気校だった。区教委によると、学区外の上限は40人。来年度の受け付けはすでに終了しているが、次年度は「夜スペ」効果でさらに人気は高まりそうだ。
「『いい学校に合格させる』がうたい文句の大手塾を、そのまま公立中学に持ってきた感じ」と批判的なのは、区立小のPTA役員を務める主婦斎藤佳子さん(48)。「公立の学校はどこへ行っても同じだ、という安心感があるはずなのに」。今のところ、子供は近所の別の区立中にそのまま通わせるつもりだ。ただ、夜スペが目に見える成果を出したら分からないと話す。「私を含め、多くの母親が流されてしまうかも」
■教師の立場
「学校の努力は十分だったのか。この問題を契機に見直してもらいたい」。夜スペ実施を認めた24日の都教委。子供の学力低下が全国的な問題になる中、委員からは教師の取り組み不足を指摘する声もあがった。
しかし、杉並区教委は「教師はめいっぱい働いている。部活動の終わった午後7時から、さらに授業するのは過重労働になりかねない」と説明する。そもそも教師は、部活動に生活指導と授業以外の仕事がいろいろあり、労働時間を正確に計算することができない。このため、法やそれに基づく都条例で、勤務時間は週40時間と定められ、時間外手当の代わりとして、月額給与にはその4%が一律加算されている。
都公立学校教職員組合の川角恒書記長は「勤務時間外の授業を、学校側が教師に課すことはできない。時間外の補習は、余裕のある教師が自主的にすべきことだ」と語気を強める。
■波及は?
大手予備校「河合塾」の服部周憲・経営企画部長は「全国の自治体はしばらくは静観するだろうが、成果が出たら動き出すかも」と予測する。
栃木県鹿沼市では、市立中学校の校長の間で、和田中の試みが話題に上ったという。ある中学校長は「まだ保護者から要望の声は出ていないが、塾に通っている生徒は多い。教育委員会の理解が得られれば、連携の動きが出てくるかも」。
「公立学校の校舎を塾に貸すことを保護者が望むと思えない」(青森市の市立中教頭)と冷静な見方もあり、地域の受験熱や私立中との競争の有る無しで温度差があるようだ。
帝京大学の市川博教授(教育学)は「保護者からの進学指導に対する要望が強い都会と、塾が宣伝戦略として学校と連携しようとしている地方。それぞれの状況に応じて批判はあるだろうが、徐々に全国に広まるのでは」とみている。
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