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 保育所に子供を入れたくても定員が満杯で入れられない「待機児童」問題。その打開策として幼稚園と保育所を一体化した「こども園(仮称)」の制度化に向けた議論が国の専門家によるワーキングチーム(WT)で行われている。しかし、サービス低下や値上げへの懸念などから幼稚園、保育所の双方が反発。国は既存施設の存続も認める折衷案を提示するなど、一体化への道のりは険しい。

 平成19年に誕生した横浜市港南区の認定こども園「ムロノキッズ」。「こども園」と名前は似ているが別物で、幼稚園と保育所が“併設”されている。こうした施設は全国に532あり、こども園のモデルケースとして注目されている。

 午後2時。幼稚園が終わると、帰宅する子供に交じり、一部は同じ敷地内にある保育所へと帰っていく。

 「ただいまー」。保育所に戻ると、保育士が「お帰りなさい」。ここから親が迎えに来るまで、子供たちは保育所で生活する。

 幼稚園の高度な教育が受けられ、保育所のように長時間預けることも可能。利用者にとっては“いいとこ取り”の制度で、評判はおおむね良好だ。横浜市港南区の会社員、臼木和子さん(38)は「しつけや教育は幼稚園の方がしっかりしている。保育所に子供を預けている会社の同僚からはうらやましがられます」と話す。厚生労働省の調査でも利用者の75%が既存施設から認定こども園への移行を「評価」している。

 だが、幼稚園を所管する文部科学省と保育所を所管する厚労省の2つの役所が関係していることから、二重行政の弊害も出ている。

 ムロノキッズでも幼稚園児は外部から搬入される給食を食べるが、保育所の子供は園内の調理室でつくった食事を食べる。同じ建物内でも保育所部分だけ防火加工が施されている。

 こうした弊害をなくし、完全に一体化させるのが「こども園」構想だ。

 しかし、この構想に幼稚園や保育所関係者は反発。国は今月16日、こども園とともに幼稚園、保育所も存続させる案など4案をWTに追加提案した。採択される案によっては一体化は大きく後退することになる。

 幼保一体化に反発が出るのはなぜか。

 全日本私立幼稚園連合会の北條泰雅副会長は「一体化で教育の質が保てるか疑問だ」と語る。幼稚園と保育所では施設の設置基準が違う。例えば運動場。幼稚園は設置が必須だが、保育所は近くの公園で代替も可能。「一体化で基準が緩和されれば、運動場がない施設が増え、貴重な体験をする機会が失われる」とも。

 「保育園を考える親の会」の普(ふ)光(こう)院(いん)亜紀代表は「所得の少ない人が入園できなくなるような制度にはしないで」と注文をつける。幼稚園は利用料を自由に設定できるからだ。

 保育士と幼稚園教諭の免許や、児童数に対する職員の割合も異なる。似て非なる両施設の統合には課題が山積している。

 こども園(仮称)構想

 文部科学省が所管する幼稚園と厚生労働省が所管する保育所を廃止し、「こども園」という一つの施設に統合する構想。背景には共働き世帯の増加などで、保育所は利用者が増え続けているのに対し、幼稚園は減少の一途。経営難により閉園する施設も出てきている事情がある。こども園はこうした問題を同時に解決する狙いがある。


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