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 児童生徒一人ひとりのニーズに応じた授業を行う「特別支援教育」を推進すると、学級全体の学力が向上すると感じている小学校教員が、国語では3割、算数では5割近くに上る――。

 そんな結果が、国立特別支援教育総合研究所の広瀬由美子・教育支援研究部総括研究員らが行った教師への意識調査で出た。発達障害の子にも分かりやすい授業改善が、通常学級で他の児童の学習意欲も引き出し、学力向上につながったと広瀬さんは分析。しかし学力向上を実感できないとする回答も多く、特別支援教育に熱心な学校と、そうでない学校とのばらつきも明らかになった。

 特別支援教育は、従来の「特殊教育」では対象外だったLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、高機能自閉症など発達障害の子を通常学級の中で支援するもの。先進校では分かりやすい授業の工夫、教材教具の準備、分かりやすい発問や板書などの取り組みが行われている。

 調査は2006年、文部科学省の特別支援教育推進にかかわる事業の地域指定を受けた小中学校362校の生徒指導主事に郵送で実施し、有効回答数は159人。

 特別支援教育の推進により学級全体の国語の学力がアップしていると感じるか、との質問に対し、小学校では「非常に思う」が3%、「思う」が28%と、肯定的に回答した教員が31%に上った。その理由を聞くと「児童生徒の学習意欲から」が48%と最も多く、「学力診断テスト等から」(18%)、「授業中の学習態度から」(13%)が続いた。

 一方では、「あまり思わない」が67%、「思わない」が2%と、否定的回答は7割近かった。

 中学校の国語では、肯定的回答が28%を占めた。理由は多い方から学習意欲(33%)、授業中の学習態度(25%)、漢字の読み書きテストから(17%)、その他(同)の順。否定的回答は66%だった。

 小学校の算数では、肯定的回答が47%と半数近くに上り、否定的回答の53%と拮抗(きっこう)した。肯定的回答の理由で学習意欲(46%)、授業中の学習態度(16%)に次いで多かったのが、計算等の小テストから(12%)、学力診断テスト等から(同)、各単元ごとの評価テストから(11%)。具体的にテストの成績アップに表れていると答えた教員が目立つ。

 中学校の数学では、肯定的回答が28%、否定的回答は66%。学習意欲(29%)、小テストから(24%)、学習態度(同)が、理由の上位3項目に挙がった。

 「発達障害の児童生徒にも分かりやすい授業への取り組みが、他の児童生徒の学習意欲の向上や授業中の態度の変容にもつながり、学力アップに結びついている。授業に工夫をしていないとした教員の間に特別支援教育への取り組みが浸透すれば、否定的回答が減っていく可能性は十分ある」

 そう指摘する広瀬さんは、「特別支援教育の取り組みと、学力向上の取り組みはリンクするのではないか」と結論づけている。


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