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大阪府立高校の進学校10校で4月から、難関大入学と国際的なリーダー養成を目指す「進学指導特色校」(文理学科)が始まる。同様の動きは東京など各地で広がっている。保護者の関心が高い一方、公立の「エリート校」化に懸念の声も上がる。
◆きめ細かく高度な授業
進学指導特色校の指定を受ける大阪府内屈指の進学校、府立天王寺高校(大阪市阿倍野区)は、93年から理科系に優れた生徒を府内全域から集める理数科を設置している。理数科は4月から、文理学科に改編される。
1月下旬、社会科の授業で、理数科の1年生が六つの班に分かれて討論をしていた。テーマは「日本は全ての原子力発電を代替発電に切り替えるべきである。是か非か」。賛成と反対に分かれて二つの班が事前に集めた資料を基に主張し、数分ごとの制限時間で質疑や反論を繰り返す。「代替発電では、現在の電力供給量をまかなえない。原子力発電は少ない燃料で多くの電力を作れる」「原発は放射性廃棄物の問題など安全性に課題がある。コストより人の命を最優先すべきで、太陽光発電の方が環境に優しく安全」。周りの生徒は討論の流れを記録し、勝敗を判断する。トーナメント形式のため、回数を重ねるごとに討論技術は徐々に向上していく。佐野萌さん(16)は「相手の主張を聞いて瞬時に反論を組み立てるのが、難しいけどおもしろい」と話す。単なる暗記ではなく知識の創造を目指す「創知」という理数科独自の授業の一環だ。
理数科は数学や物理などで少人数授業を取り入れてきめ細かな指導をするほか、大学生に交ざって講義を受けるなど高度な教育内容を実践してきた。3年生になると、オーロラや生物の進化など理科や数学の各分野で大学教授の指導を受けながら課題研究をする。来年度からは課題研究を文系科目にも広げるという。
同校の兵庫将夫校長は、理数科や文理学科の取り組みについて「生徒を特別扱いするエリート校には当たらない」と強調する。理数科では京都大や大阪大の研究室を訪問して授業も体験してきたが、3年前から普通科も含めた全員参加にした。大学の空気に触れることで、意欲的に勉強に励める効果が確認できたためという。大学合格実績でも理数科と普通科で大きな差はみられない。昨年度、同校の現役京都大合格者は理数科12人、普通科7人。大阪大は理数科が8人で普通科の18人が上回った。兵庫校長は「互いに負けたくないと意識し合い、いい意味で切磋琢磨(せっさたくま)できている」と評価する。
◆橋下知事の肝いりで
特色校設置は、橋下徹知事の意向が大きい。大阪でも東京などと同様、公立高の進学実績の低下が問題視されていた。橋下知事は「お金がなくてもしっかり勉強できる環境を実現する」と府立高校のエリート校化を主張。府教委は、学区再編前の9学区のトップ校である北野▽茨木▽大手前▽四條畷(しじょうなわて)▽高津▽天王寺▽生野▽三国丘▽岸和田に、豊中を加えた10校を指定した。
当初は、現在の府立高全体の難関国立・私立大の合格者数約1000人の6割増を目標に掲げた。だが昨年11月、橋下知事は府教育委員らと韓国の公立エリート校「ソウル科学高校」などを視察し、「国内の大学進学だけを目指すのではなく、科学や政治などで日本にとって必要な人材育成をすべきだ」と発奮。10校の通称を急きょ「グローバル・リーダーズ・ハイスクール」に決定するなど、国際的な人材育成を目標の前面に掲げるようになった。教師や生徒を対象にした海外研修を実施したり、海外の高校との交流、国際科学オリンピック参加のための対策などを検討している。進学実績向上でも、10校統一試験▽合同の勉強合宿▽実績の高い学校の進路指導ノウハウを共有化▽大学との連携講座などを計画している。
10校に対して来年度、他の公立とは別に約2億円の予算をつけて「特別化」することに、戸惑いの声も上がっている。府内の公立中学の校長は「私立と区別がつかなくなる。公立高に目玉校を作ることが本当に必要なのか」と疑問視する。そして「他の学校の教育水準が維持できるのか不安もある。その時々の教育施策に振り回されては、子どもがかわいそう」と懸念する。
橋下知事の意向を受け、府教委は10校と他の高校の間で競争を生じさせるため、指定校の実績を3年に1回判定し、実績の低い学校を入れ替える意向も示している。だが「実績」とは何を基準に判断するのか。「国際的なリーダー育成」を目標に掲げながら、難関大の合格実績だけが判断基準になる懸念もある。
◆前後期の受験も可能
入試は、前期日程(今年は2月23日)で実施。不合格の場合、後期(同3月16日)で同じ高校の普通科の受験も可能だ。科目は、学力試験は独自問題で国数英の3科目と小論文。学力試験と調査書の配点は7対3で筆記重視だ。
関西を中心に展開する進学塾の第一ゼミナール(大阪市)によると、大阪は従来、公立志向が強いため、私学上位校からの流動はそれほどないとみている。10校は学区に関係なく府内全域から受験できるが、競争率は軒並み高く、約4倍にまで上がった学校もある。担当者は「(天王寺などの)理数科は1学年に2クラスで特別なイメージがあったが、4月からは文理学科と普通科が半数ずつになる。文理学科で不合格だった生徒が普通科に入学後、劣等感をもたないよう教師のフォローが不可欠」としている。
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全員参加方式から抽出方式に切り替わったばかりの全国学力調査について、文部科学省の専門家会議が全員参加方式の復活案を検討し始めた。抽出方式を維持しつつ数年に1回は全員参加とする案だ。
学力調査は2007年度から小学6年と中学3年を対象に年1回行われ、09年度までは全員参加だった。「抽出調査で十分」とする民主党が政権に就き、10年度から対象学年の3割を抽出する方式に切り替えられた。ただ、抽出から外れた学校の希望参加も認められており(採点は各校や自治体が行う)、10年度は全小中学校の7割が参加した。
全員参加方式には「きめ細かな学力把握のために」と再開を望む声がある一方、「過度の競争につながる」との批判も根強い。
18日に専門家会議の会合で示された案は、全員参加方式だった3年間の調査を「信頼性の高いデータが蓄積された」と評価。「当面、抽出方式で調査目的を実現でき、全員参加でなくとも必要なデータを得ることは可能」としつつ、3~5年に1回程度を想定し、「数年に1回は、きめ細かい調査を実施することも検討の必要がある」とした。
具体的には全員が同じ問題を一斉に解く方式のほか、広い学習範囲のデータをとるため難易度や出題内容の違う複数の問題冊子を使う全員参加型▽希望参加を認め、採点なども国が行う「抽出率アップ方式」などを想定している。
専門家会議は「学力の経年変化分析を重視した新タイプの調査方式の開発」や「全国学力調査と地方独自の調査のデータを結びつけるシステムの構築」も提言している。
今年4月の学力調査は現行の抽出方式で行われる。
文部科学省は18日、今月25日から始まる国公立大2次試験の確定志願者数を発表した。
確定志願者数は50万4193人で、前年度比1万4917人増。志願倍率は5・0倍で、前年度(4・9倍)を0・1ポイント上回った。
学部系統別で倍率の増加が目立ったのは、前年度比0・6ポイント増の医・歯(6・0倍)、同0・3ポイント増の薬・看護(6・0倍)など。同省大学入試室では「景気の低迷で、就職に結びつく資格を取得できる学部に人気が集まったのでは」と見ている。
2段階選抜(門前払い)は、前期日程で実施を予告していた51大学149学部のうち22大学34学部で行われ、3428人が2次試験に進めず不合格となった。
確定志願者数は50万4193人で、前年度比1万4917人増。志願倍率は5・0倍で、前年度(4・9倍)を0・1ポイント上回った。
学部系統別で倍率の増加が目立ったのは、前年度比0・6ポイント増の医・歯(6・0倍)、同0・3ポイント増の薬・看護(6・0倍)など。同省大学入試室では「景気の低迷で、就職に結びつく資格を取得できる学部に人気が集まったのでは」と見ている。
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「全員参加」方式から「サンプル抽出」方式に改められた「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)について、文部科学省は18日、全員参加方式を数年に1度、復活させる案を専門家会議に示した。何年に1度にするかは専門家の議論に委ねる。会議は3月までに、復活案を審議し、一定の結論を出す見通し。
全国学力テストをめぐっては、民主党政権が日本教職員組合(日教組)側の「全員参加のテストは過度の競争を招く」という論理を取り入れ、平成22年から抽出方式を導入していたが、軌道修正を迫られることになった。
ただ、政権交代で導入された政策否定にならないように、文科省の案では全員参加調査方式を意味する「悉(しっ)皆(かい)調査方式」という表現は避けられた。現行の抽出調査の補強という観点で、数年に1度、「きめ細かい調査」を行う必要性が強調されている。
具体的には、過去に行われた全員参加方式のテストに触れて、「信頼性の高いデータの蓄積の観点からは、数年に1度はデータの更新が必要となることが考えられる」と強調。
そのうえで、「国として教育格差の状況を把握・分析し、施策の検証を行うために、数年に1度は、きめ細かい調査を実施することについても検討する必要がある」とした。
会議では、文科省幹部は、こうした表現になった理由について「悉皆か抽出かという議論が行われたが、『この調査方式』という表現は避けた」と説明した。
学力テストは、19年に43年ぶりに全員参加方式で復活したが、政権交代を受けて21年10月、当時の川端達夫文科相らが4割の抽出方式に変更する方針を示し、さらに行政刷新会議の事業仕分けで3割の抽出となった。今年4月のテストも抽出方式とすることが決まっている。