忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


 4月から中学1~2年生の体育の授業で武道が必修になる。日本の伝統に触れることなどが目的で、佐賀県内では柔道、剣道、相撲、なぎなたから各中学校の判断で種目を選ぶ。競技の普及・振興などが期待される一方で、指導者は専門の教諭ばかりではない。特に柔道では頭を打った生徒の体に障害が残る事故が全国で相次ぎ、学校側の管理責任を問う訴訟も起きている。専門家からは安全管理の徹底を求める声が上がる。

■外部講師と連携授業 柔道の実践校

 体育館の床に敷き詰めた緑と赤の畳は約120畳。昨年12月15日、佐賀市立諸富中(同市諸富町)であった公開授業で、白い柔道着の中学生に、5人の教員と講師が指導にあたった。

 近隣の体育施設から畳を借りて十分な広さを確保。寝技中心に授業を進め、3人一組の「トリオ学習」で周囲への目配り役を設ける。投げ技は、全員同じ組み手で同じ方向に投げる。

 これまでの授業でケガをした生徒はゼロ。指導にあたる50代男性教諭は「柔道初心者や体が発育段階の生徒もいる。無理があれば立ち技などは練習させない。環境を整えて授業すれば、事故は起きない」と話す。

 同校は2009年度に文部科学省が指定する地域連携指導実践校に選ばれた。全学年が男女共修で柔道の授業に取り組む。地元の有段者2人を外部講師に招き、授業は教員を含む計5人態勢と手厚い。

 生徒に武道(柔道)へのイメージを聞いたアンケート結果では「投げるのが気持ちいい」など、肯定的な意見も多かったという。

■指導手引配布へ 県教委

 一方、生徒が重傷を負う事例も起きている。柔道の授業で脊髄(せきずい)を損傷した東京都内の私立高校の元生徒が損害賠償を求めた訴訟では東京地裁が昨年7月、運営する学校法人に約1640万円の支払いを命じた。

 県教委は指導者講習会を主催。県内の公立中学、高校の体育教員に段位を認定している。

 県教委によると、講習会は3日間の「養成講習」で基本動作や安全指導などを学び、2カ月後に3日間の「認定講習」で実技指導や審判方法などを経験、最終日に段位認定試験を受ける。10年度(柔道)は体育教員12人中10人が合格。11年度(剣道)は18人のうち18人が認定を受けた。

 今春をめどに独自の安全指導の手引を作成し、各校へ配布する予定だ。県教委は「必修化に向けて教員の指導力向上や安全な指導の充実を図る」としている。

■「検証重ね制度を」専門家

 学校での事故に詳しい名古屋大大学院の内田良・准教授(教育社会学)は「武道の経験の少ない生徒や教員の数が増えるため、重篤な事故にいたるケースも増える」と危惧する。

 内田准教授によると、部活中に比べて授業中の事故数は少ない。一方で、東海・北陸7県で起きた09~10年度の柔道の負傷事故をみると、危険な頭部負傷の割合は授業中の方が高かったという。「死亡事故とは紙一重。柔道の専門家による一層の検討が必要だ。必修化を機に、授業中だけでなく部活動にも安全対策を広げてほしい」と話す。

 また、全日本柔道連盟の二村雄次・医科学委員会副委員長も「初心者に乱取りや試合をさせるのは危険がつきまとう。一方で、全身運動の柔道は楽しく教えることも大事。外部の専門家の登用やモデル校での指導法を検証した上で、安全に十分注意した制度づくりが必要」と指摘する。

PR
この記事にコメントする
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
カテゴリー
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
忍者ブログ [PR]
Copyright(C) 教育のニュースとか All Rights Reserved